古代美術 2
写実をこえた生命力が発散しているのです。
それは個でなくて人間存在の主張ではないでしょうか。
抽象化にもかかわらず、いや普遍化された人間そのものの生命の表現です。
「ティリンスの官女」と同じ頭部の三断片も同型であり、また共通する生命力を表明しているのは、このためです。
ミケネ画家の究極はここにあるのではないでしょうか。
しかしこのティリンスの女たちは偶然の作かもしれません。
ミケネの金工品は主に容器と武器です。
そしてミケネの竪穴墓からの出土品が中心になります。
この初期にたいして盛期のものは掠奪にあったのか、残る品は少なく、伝わる作品も竪穴墓の出土品とくらべて進歩の跡はすくないものです。
この前16世紀に突然に高度な貴金属製品が現われたことは、クレタ文化との接触を考えなければ、一つの謎です。
貴金属のなかでも黄金が多くて、ホメロスが「黄金に富むミケネ」と歌ったことが実証されました。
これまでに美術的容器としてはクレタの旧宮殿時代は陶器、新宮殿時代は浮彫金箔張りの石製でしたが、ミケネ時代には銀ことに金器が使われます。
・・・ことに杯の類が多いです。