古代美術
ピュロス壁画には戦いの場面があって、突撃や倒れる姿があっても、動きがぎこちないものです。
なお、このことについては陶器の装飾の場合にのべましょう。
抽象や安定はミケネ画家のクレタ模倣の限界をしめし、また彼らの消しがたい性向ではありました。
そして自然主義に徹しきれぬとき、生命の表現はできないでしょうか。
自然主義の立揚からいえば衰退であるけれども、別な生命表現を果していないでしょうか。
もう一度「ティリンスの官女」をみます。
そこには何か迫るものがあります。
「パリの女」の魅惑はありませんが、荘厳さがあります。
そこには瞬間瞬間の濃刺さではなくて変らぬ活力が放射されています。
眼は大きくはありませんが前方を強く凝視し、それに対応する長く鋭い眉がはりつめています。
逞しい鼻の下の口も顎もしまっています。
・・・これは女性的とも男性的ともいえません。